感覚を使って歌唱力を上げる方法

こんにちは、ミリオンシンガーアカデミーの金田眞義です。

 

歌唱力を上げるためにできることは、たくさんあります。

 

体の使い方、エネルギーの使い方、喉の使い方を覚える、姿勢を正す、感覚を使う、などなど。

 

全てをいっぺんにお伝えするのは難しいので、今回は、「感覚」をテーマにお伝えしますね。

 

 

行動は全て五感に集約される

行動は全て五感に集約される

人の行動に必要な能力は全て、五感に集約されていきます。

 

五感と言えば、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚、ですね。これに集約されていくと言われても、イメージが掴みきれないかもしれません。

 

 

走るときに使う能力は?

例えば、走るときに使う能力は、脚力です。けれども、それ以前に必要なものがあります。それは、視力です。それともうひとつ、触覚です。

 

視覚を使って、走るコースや周りの状況が見えていないと、走ることはできません。

また、触覚を使って、自分の筋肉の感覚や地面を踏みしめる感覚も、はやく走るのには必ず必要になります。

 

トップレベルのアスリートになればなるほど、視覚や触覚に意識を向け、軽さ、重さ、違和感などに敏感になります。

 

 

料理をするときに使う能力は?

また、料理人も同じです。

 

料理をするのに必要なのは、味覚、嗅覚ですね。盛り付けには視覚も必要です。作った料理の繊細な味の違いを感じ、その日の天候や季節によって、少し塩分を加えたり抑えたり、食材の状態をにおいで察知したりします。

 

一流のシェフで、味覚や嗅覚が鈍感な人はいません。

 

 

歌うときに使う感覚は2種類

では、歌を歌うときに使う感覚はなんでしょうか?

 

それは、聴覚と触覚です。

 

 

聴覚

音を取るとき、細かい音の違いを聞き分けられれば、同じ音を出すことができます。

 

大雑把に言えば、ドとレとミを区別して聞くことができる人は、ドとレとミを区別して出すことができます。

 

逆にドとレとミを区別して聞けない人は、出した音がドのときもあればレのときもあるし、ミのときもあります。何が出るか分かりません。

 

「音がフラットしやすい」

「うまく音が取れない」

 

こんな悩みを抱えているときは、音を出す練習の前にその音を何度も何度も繰り返し聞く、ということを大切にしてください。

 

そのあと、同じ音を出すトレーニングをします。

 

 

触覚

「歌なのに触覚?」なんて思いますか?これはとても大事な感覚です。

 

歌を歌うときに、どこに力が入っているか、声帯がどんな風についているか、自分の姿勢はどんな状態か、これを感じる力が、触覚です。

 

もうひとつ、感情を表現するときに使うのも触角です。

 

感情を再現するときに一番やりやすいのは、その感情を感じたときの体の感覚を再現する、という方法です。

 

例えば、「怒り」を感じているとき、どんな感覚が体にありますか?

 

胸の奥がぐつぐつ煮えたぎるような感覚

頭に血が上って頭が真っ白になる感覚

歯を噛み締めて我慢をしている感覚

 

といったものが多いですね。怒りの感情を再現したいとき、この感覚をよみがえらせるとより深い感情に入ることができます。

 

「喜び」「楽しさ」「落ち込み」「喪失感」「幸福感」「達成感」

 

全ての感情に、感覚が伴います。感情を表現するときは、その感覚をいかに忠実に再現するかがとても大切になります。

 

ですので、感覚に敏感になり、自分の感覚を細部まできちんと理解し、感じる、ということが大切になります。

 

 

五感をトレーニングする方法

では、その必要な感覚をどのようにトレーニングすればいいか、これから説明していきますね。

 

良いものばかりを感じればいいわけではない

何かを上手になりたい、うまくやりたい、と思うとき、多くの人がうまくできる方法ばかりに気を取られます。

 

けれども、じつはそれよりも効率の良い方法は、うまくできる方法とうまくできない方法、両方を体験することです。

 

美味しい料理を作りたい人は、もちろん美味しくできた体験をする必要があります。けれども、美味しくできなかった体験も大事です。なぜなら、「こういう料理をすると美味しくなくなる」という体験があることで、ダメなことを潰していくことができるからです。

 

また、美味しいご飯を食べることも大事ですが、美味しくない料理を食べることも、自分の味覚を鍛えるのに必要です。美味しくない体験があるからこそ、美味しい体験が冴えていきます。

 

 

聴覚をトレーニングする方法

では、聴覚をトレーニングするためには、何をすればいいでしょうか?

 

簡単に言えば、日常生活の音に注意を払う、ということをすればOKです。

 

歌なのですから、もちろん音楽を聞くということもとても大切です。けれども、音は音楽だけではありません。

 

生活音、雑踏の音、車や電車の音、自然の音、静まり返った音。

 

自分の身の回りの音に意識を向けて、その音に囲まれている自分を意識します。

 

そして、心地良い音、心地悪い音、目立つ音、目立たない音、大きい音、小さい音、を感じていくことで、どんどん聴覚は鋭敏になっていきます。

 

 

触覚をトレーニングする方法

触覚には2つ種類があります。

 

ひとつは、実際に肌に触れて感じるもの。サラサラしてる、べちゃべちゃしてる、しっとりしてる、ザラっとしてる、といったものですね。

 

もうひとつは、体の内側の感覚です。胸が締め付けられる、はらわたが煮えくり返る、胸がドキドキする、といったものです。

 

どちらも、触覚をトレーニングするには必要です。肌に触れる感覚のトレーニングは、歩きながらできます。手をぶらりとして歩き、手にあたる風や空気を意識しながら歩くだけです。

 

また、内側の感覚をトレーニングするには、感情に意識を向けます。何か特別な感情が湧きあがったとき、自分の体の内側に意識を向け、どこにその感情があるかを特定し、どんな感覚かを掘り下げていきます。

 

例えば、楽しくて浮かれているとき、胸にその感覚があり、軽くてふわふわして、少しあたたかい、といった感じです。

 

そんな風に自分の感情と向き合うことを続けていると、自然に内側の意識が鋭敏になります。

 

そうすれば、感情を感じやすくなるとともに、感覚を掘り下げることがうまくなりますので、感情の再現性も高まります。

 

 

インプットとアウトプットのバランスは大切に

ものごとの訓練で大切なのは、インプットとアウトプットです。

 

インプット=知識を得る、理論を知る、内側に意識を向ける

アウトプット=実際にやってみる、人に伝える

 

といった感じです。

 

インプットばかりを意識してしまうと、頭でっかちになってしまいます。とても詳しいのに実際にはできない、という状態になってしまいます。

 

アウトプットばかりを意識してしまうと、手当たり次第何かすることになってしまいます。運が良ければうまくいきますが、知識や理論、自分への理解の上でするアウトプットに比べ、効率も悪く、最悪の場合、全く意味のないことばかりに手を出すことになります。

 

聴覚と触覚のトレーニングはインプットです。そして、これらは終わりのないトレーニングです。ですから、インプットをしながらアウトプットをするようにしてください。

 

感覚のトレーニングもする。

実際に歌うトレーニングもする。

 

そうやって同時進行していくことで、いつの間にかどんどん自分の歌いたい歌が歌えるようになりますよ。

 

まとめ

「感覚」というものに焦点をあてて、歌のうまい人の特徴をあげていきました。

 

歌のうまい人は、聴覚と触覚に優れています。

 

聴覚をトレーニングするために、身の回りの音に意識を向ける癖をつけ、触角をトレーニングするために、歩いているときの手のひらの感覚に意識を向け、感情に対する感覚を掘り下げる習慣をつける。

 

これらのことをしていきながら、アウトプットの歌のトレーニングもして、技術を積み重ね、100万人に響く声を手に入れていきましょう。

 

  
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